(a) 次の推論の間違いを指摘せよ。
対称律と推移律から、次のようにして反射律を導く事が出来る。
すなわち、集合 $S$ における関係 $\sim$ が対称律と推移律を満たすとする。
このとき、$x, y \in S$ に対して、$x \sim y$ とすると、対称律より、$y \sim x$ が成り立つ。
次に、推移律より $x \sim x$ が成り立つことが言える。
(b) 整数全体の集合 $\mathbb{Z}$ の関係で対称律と推移律は満たすが反射律は満たさないものを1つ挙げよ。
(a)
全ての $x \in S$ に対して $x \sim y$ となる $y \in S$ が存在するとは限らない。
(b)
整数 $x, y \in \mathbb{Z}$ に対して、$x,y$ がともに2の倍数の場合に
\begin{align}
x \sim y
\end{align}
なる関係を満たすとする。
このとき、明らかに、対称律 $x \sim y$ ならば $y \sim x$ を満たす。
また、推移律 $x \sim y $ かつ $y \sim z$ ならば、$x \sim z$ も満たす。
しかし、$x$ が奇数のとき、$x \sim x$ とはならないので、反射律は満たさない。