ベクトル解析

ベクトルの内積と外積の性質

3次元空間のベクトルA=(Ax,Ay,Az),B=(Bx,By,Bz),C=(Cx,Cy,Cz)に対して、以下の件形式を示せ。

(1) |AB|=cosθ  (ここにθABとのなす角度)

(2) |A×B|=sinθ  (ここにθABとのなす角度)

(3) A(A×B)=0,   B(A×B)
すなわち、A×BABの両方に直交する。

(4) 一般にA×(B×C)=(A×B)×Cは成り立たない。
従って、A×B×Cという記法は上式の右辺の事か左辺の事か分からないので許されない。

(5) A(B×C)=B(C×A)=C(A×B)

(6) A×(B×C)=(AC)B(AB)C

(7) A×(B×C)+B×(C×A)+C×(A×B)   (ヤコビの恒等式)

(1) 三角形OABについて余弦定理を用いると
|BA|2=|A|2+|B|22|A||B|cosθ
が成立する。ここで左辺は
|BA|2=|AB|2=(AB)(AB)=|A|2+|B|22(AB)
と変形出来る事に注意すれば
AB=|A||B|cosθ
が成り立つことが分かる。

(2) 示すべき式は両辺共に0以上である事に注意して、左辺の2乗を計算すると
|A×B|2=(AyBzAzBy)2+(AzBxAxBz)2+(AxByAyBx)2=Ay2Bz2+Az2By2+Az2Bx2+Ax2Bz2+Ax2By2+Ay2Bx2     2(AyAzByBz+AxAzBxBz+AxAyBxBy)
となる。一方で右辺の2乗は
(|A||B|sinθ)2=|A|2|B|2sin2θ=|A|2|B|2(1cos2θ)=|A|2|B|2(|A||B|cosθ)2=|A|2|B|2(Ab)2=(Ax2+Ay2+Az2)(Bx2+By2+Bz2)(AxBx+AyBy+AzBz)2=Ax2By2+Ax2Bz2+Ay2Bx2+Ay2Bz2+Az2Bx2+Az2By2     2(AxAyBxBy+AxAzBxBz+AyAzByBz)
となり、示すべき式が成立することが分かる。

(3)
A(A×B)=Ax(AyBzAzBy)+Ay(AzBxAxBz)+Az(AxByAyBx)=0
B(A×B) についても同様にして示せる。

(4) 例えば
A=(1,0,0)B=(0,1,0)C=(1,1,1)
とすれば、
B×C=(1,0,1)A×(B×C)=(0,1,0)A×B=(0,0,1)(A×B)×C=(1,1,0)
となり、一般に A×(B×C)=(A×B)×Cが成り立たない事が分かる。

(5)
A(B×C)=Ax(ByCzBzCy)+Ay(BzCxBxCz)+Az(BxCyByCx)B(C×A)=Bx(CyAzCzAy)+By(CzAxCxAz)+Bz(CxAyCyAx)C(A×B)=Cx(AyBzAzBy)+Cy(AzBxAxBz)+Cz(AxByAyBx)
明らかに、上の3式は等しい事が分かる。

(6) x成分について考えると
{A×(B×C)}x=Ay(B×C)zAz(B×C)y=Ay(BxCyByCx)Az(BzCxBxCz)+AxBxCxAxBxCx=(AxCx+AyCy+AzCz)Bx(AxBx+AyBy+AzBz)Cx=(AC)Bx(AB)Cx
となり、成立することが分かる。y,z成分についても同様にして示せる。

(7) 各項において(6)を用いる事により
A×(B×C)+B×(C×A)+C×(A×B)=(AC)B(AB)C     +(BA)C(BC)A     +(CB)A(CA)B=0
となり、示すべき式が証明される。

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