正三角形の二面体群 $D_6$ の積表を作り、$D_6$ の部分群を全て求めよ。
二面体群 $D_6$ の元は、
\begin{eqnarray}
D_6 = \{e, \sigma, \sigma^2, \tau, \sigma \tau, \sigma^2 \tau\}
\end{eqnarray}
と表すことが出来る。ここに、$e$ は単位元、$\sigma$ は正三角形の中心に関して反時計回りに $120$ 度の回転、$\tau$ は頂点1を通る対称軸に対して裏返しを表す。
$\sigma \tau$ は、先ず変換 $\tau$ を作用させた後に $\sigma$ を作用させることを意味するものとする。
この時の積表は下のようになる。積は列成分を先に作用させ、行成分を後で作用させた表となっている。
\begin{eqnarray}
\begin{array}{|c|c|c|c|c|c|c|}
\hline
& e & \sigma & \sigma^2 & \tau & \sigma \tau & \sigma^2 \tau \\ \hline\hline
e & e & \sigma & \sigma^2 & \tau & \sigma \tau & \sigma^2 \tau \\ \hline
\sigma & \sigma & \sigma^2 & e & \sigma \tau & \sigma^2 \tau & \tau \\ \hline
\sigma^2 & \sigma^2 & e & \sigma & \sigma^2 \tau & \tau & \sigma \tau \\ \hline
\tau & \tau & \sigma \tau & \sigma^2 \tau & e & \sigma & \sigma^2 \\ \hline
\sigma \tau & \sigma \tau & \sigma^2 \tau & \tau & \sigma & \sigma^2 & e \\ \hline
\sigma^2 \tau & \sigma^2 \tau & \tau & \sigma \tau & \sigma^2 & e & \sigma \\ \hline
\end{array}
\end{eqnarray}
二面体群 $D_6$ の位数は $6$ であるので、その部分群の位数は、$1, 2, 3, 6$ である。
このうち、位数 $1$ と位数 $6$ は自明な部分群であり、各々、$\{e\}, D_6$ が自明な部分群となる。
自明でない部分群は位数が $2, 3$ であり、それらの部分群を探す。
先ず、位数が $2$ の部分群を求める。
$\tau \in D_6$ は $\tau^2 = e$ である。
しかし、それ以外の($e$ を除いて) $g \in D_6$ は $g^2 = e$ とならないので、$\{e, g\}$ は部分群とならない。
実際に、
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c|cccccc}
g & e & \sigma & \sigma^2 & \tau & \sigma \tau & \sigma^2 \tau \\ \hline
g^2 & e & \sigma^2 & \sigma & e & \sigma^2 & \sigma
\end{array}
\end{eqnarray}
となる。
従って、位数 2 の部分群は $\{e, \tau\}$ のみである。
次に、位数が $3$ の部分群を探す。
$\sigma, \sigma^2$ は、各々、$\sigma^3 = e, (\sigma^2)^3 = e$ となる。
一方で、他の($e$ を除いた) $g \in D_6$ については、$g^3 = e$ を満たさない。
実際に
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c|cccccc}
g & e & \sigma & \sigma^2 & \tau & \sigma \tau & \sigma^2 \tau \\ \hline
g^3 & e & e & e & \tau & \tau & \tau
\end{array}
\end{eqnarray}
となる。
従って、$\{e, \sigma, \sigma^2\}$ のみが位数 3 の部分群である。
まとめると、二面体群 $D_6$ の部分群は $\{e\}, \{e, \tau\}, \{e, \sigma, \sigma^2\}, D_6$ の4つである。