ある実数\(\lambda\)に対して
\[
\lim_{x \to 0} \frac{\tan x – x – \lambda x^3}{x^5}
\]
が有限な値であるとき、次の問いに答えよ。
(1) \(\lambda\)の値を求めよ。
(2) 極限値を求めよ。
(1) 与えられた式を以下のように変形する。
\[
\frac{\tan x – x – \lambda x^3}{x^5} = \frac{\sin x – x \cos x – \lambda x^3 \cos x}{x^5 \cos x}
\]
ここで、\(\sin x, \cos x\)の Taylor 展開は
\[\begin{align}
\sin x &= x – \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} – \cdots \\
\cos x &= 1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots
\end{align}\]
であるので、これを代入すると
\[
\frac{\left(x – \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} – \cdots\right) – x \left(1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots \right) – \lambda x^3 \left(1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots \right)}{x^5 \left(1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots \right)}
\]
となる。
分子の\(x^1\)の項はキャンセルし、さらに\(x^3\)の項もキャンセルしないと、\(x \to 0\)で収束しない。
従って、\(x \to 0\)で有限な極限値を持つためには
\[
– \frac{1}{3!} + \frac{1}{2!} – \lambda = 0
\]
となる必要がある。
この式より
\[
\lambda = \frac{1}{3}
\]
と求まる。
\[
\frac{\tan x – x – \lambda x^3}{x^5} = \frac{\sin x – x \cos x – \lambda x^3 \cos x}{x^5 \cos x}
\]
ここで、\(\sin x, \cos x\)の Taylor 展開は
\[\begin{align}
\sin x &= x – \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} – \cdots \\
\cos x &= 1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots
\end{align}\]
であるので、これを代入すると
\[
\frac{\left(x – \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} – \cdots\right) – x \left(1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots \right) – \lambda x^3 \left(1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots \right)}{x^5 \left(1 – \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} – \cdots \right)}
\]
となる。
分子の\(x^1\)の項はキャンセルし、さらに\(x^3\)の項もキャンセルしないと、\(x \to 0\)で収束しない。
従って、\(x \to 0\)で有限な極限値を持つためには
\[
– \frac{1}{3!} + \frac{1}{2!} – \lambda = 0
\]
となる必要がある。
この式より
\[
\lambda = \frac{1}{3}
\]
と求まる。
(2) 次に、分子の\(x^5\)の項の係数が求める極限値となるので
\[
\frac{1}{5!} – \frac{1}{4!} + \lambda \frac{1}{2!} = \frac{2}{15}
\]
が求める極限値となる。
ロピタルの定理を使っても、もちろん答えを導き出すことが出来るが、\(\tan x\)の5次導関数まで求める必要があり、計算がかなり煩雑になるために、このように、良く知っている関数の Taylor 展開を用いると計算が簡単になる。