解析学(微分積分)

2変数関数の極値

実数x,yについての2変数関数
f(x,y)=14x443x3+52x22x+13y3+32y2+2y+2
の極値とそれを与えるx,yの値を求めよ。

多変数関数の極値の判定には、Hessian(ヘッシアン) を利用すれば良い。2変数の場合、Hessian H(x,y)
H(x,y)=fxx(x,y)fxy(x,y)fyx(x,y)fyy(x,y)=fxx(x,y)fyy(x,y)(fxy(x,y))2
で定義される。

f(x,y)の各微係数を求めると
fx(x,y)=x34x2+5x2=(x1)2(x2)fxy(x,y)=fyx=0fxx(x,y)=3x28x+5fy(x,y)=y2+3y+2=(y+1)(y+2)fyy(x,y)=2y+3
となる。

従って、極値である可能性のある座標は
(1,1),(1,2),(2,1),(2,2)
の4点である。

これらの点での Hessian の値を計算すると
H(1,1)=0H(1,2)=0H(2,1)=1H(2,2)=1
となり、(2,2)H(2,2)<0から極値とはなり得ない。
また
fxx(2,1)=1>0
から、(2,1)は極小値となり、その値はf(2,1)=12である。

残された(1,1),(1,2)の2点に関しては Hessian の値からは極値かどうか判断出来ないので個別に議論が必要である。

そこで、y=y0に固定して、xを変化させた時に、f(x,y0)がどのように変化するか見ると
fx(x,y0)=(x1)2(x2)
となるために、f(x,y0)x<1においてfx<0であるので減少し、1<x<2)においてもfx<0となるために減少することが分かる。
すなわち、2点(1,1),(1,2)では、極値を持たない事が分かる。

結局、与えられた2変数関数f(x,y)(2,1)において、極小値12をとることが分かる。

2変数関数の極値は、次に定義される Hessian H(x,y) を用いて、次のように判定することが出来る。
H(x,y)=fxx(x,y)fxy(x,y)fyx(x,y)fyy(x,y)=fxx(x,y)fyy(x,y)(fxy(x,y))2

極値をとる可能性がある点は、停留点と呼ばれるfx(x0,y0)=0,fy(x0,y0)=0を満たす点(x0,y0)であり、この停留点における Hessian の値によって以下のように判定することが出来る。

H(x0,y0)>0,fxx(x0,y0)>0の時、点(x0,y0)で極小値をとる
H(x0,y0)>0,fxx(x0,y0)<0の時、点(x0,y0)で極大値をとる
H(x0,y0)<0の時、点(x0,y0)で極値をとらない
H(x0,y0)=0の時、Hessian では判定出来ないので個別に議論する必要がある

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