平面上に、原点を中心とする正五角形がある。恒等写像ではないこの平面上の線形変換が次の性質を持つものとする:
(1) なる頂点が存在することを示せ。
(2) とすると、かつであることを示せ。
(1) まず、 ならば であることに注意する。なぜならば、この命題の対偶は ならば であるが、今、は線形変換なのでが成り立つので、ならば、すなわちが成り立つからである。
すなわち、この線形変換は正五角形の5つの頂点を重複の無いように、各々別の頂点に写すことを意味する。
そこで、証明すべき主張を背理法で示す。すなわち、全ての頂点が線形変換によって各々全て違う頂点に写ると仮定する。
ここで、頂点の記号はどのように付けても一般性は失わないので、最初に任意にを選んだ後、残りの頂点を次のように番号を付ける事にする。
まず、は仮定より以外の頂点に写る。便宜上、その頂点をと名付けることにする。すなわち
となるように頂点を名付ける。すると条件より
となり、頂点は頂点に写る事が分かる。
さらに、まだ名付けられていない頂点の1つをと名付け、それがによって移る先をと名付けると、同様の議論によって
が言える。
すると、最後に残った頂点をと名付けると、は以外の頂点に写るはずであるが、そのような頂点は残されておらず、矛盾が生じる。
従って、題意が示された。
(2) (1) により少なくとも1つの頂点はにより自分自身に写る。そのような頂点を1つ選び必要があれば頂点の記号を入れ替える事によりとしても一般性は失わない。
今回は(1)の時の証明を違い、頂点を決めたあと、反時計回りに各頂点をと名付ける。
ここで
なるベクトルを考えると、これはにより自分自身に写る。なぜなら
となるからである。
一方、も線形変換により自分自身に写るので、これら2つのベクトルは線形独立であってはならない。なぜなら、線形独立であるとすると2つの線形独立なベクトルが線形変換により自分自身に写ることになってしまい、これは線形写像が恒等写像であることを意味し、が恒等写像でない事に反するからである。
従って、便宜上、方向に軸を取るとするとの成分はであるはずである。正五角形でこのような関係にある頂点のペアは、と、としか許されない。
ここで、上述のように軸を決めると正五角形の各頂点は
と表せることを用いた。
従って、題意が示された。