代数学

ハミルトンの4元数体

行列の通常の加法と乗法に関して
\begin{align}
\left\{
\begin{pmatrix}
x & – \overline{y} \\
y & \overline{x} \\
\end{pmatrix}
\middle| x, y \in \mathbb{C}
\right\}
\end{align}
は斜体になることを示せ。

$x_1, x_2, y_1, y_2 \in \mathbb{C}$ とするとき
\begin{align}
\begin{pmatrix}
x_1 & – \overline{y_1} \\
y_1 & \overline{x_1} \\
\end{pmatrix}
+
\begin{pmatrix}
x_2 & – \overline{y_2} \\
y_2 & \overline{x_2}
\end{pmatrix}
&=
\begin{pmatrix}
x_1 + x_2 & – \overline{y_1 + y_2} \\
y_1 + y_2 & \overline{x_1 + x_2} \\
\end{pmatrix} \\
\begin{pmatrix}
x_1 & – \overline{y_1} \\
y_1 & \overline{x_1} \\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x_2 & – \overline{y_2} \\
y_2 & \overline{x_2} \\
\end{pmatrix}
&=
\begin{pmatrix}
x_1 x_2 – \overline{y_1} y_2 & – \left(\overline{y_1 x_2 + \overline{x_1} y_2}\right) \\
y_1 x_2 + \overline{x_1} y_2 & \overline{x_1 x_2 – \overline{y_1} y_2} \\
\end{pmatrix}
\end{align}
が成り立つので、与えられた集合は通常の行列の和法と乗法に関して閉じており、明らかに結合則も満たす。

さらに、
\begin{align}
\begin{pmatrix}
x & – \overline{y} \\
y & \overline{x} \\
\end{pmatrix}
\end{align}
に関する和法に対する逆元
\begin{align}
\begin{pmatrix}
– x & – \left(\overline{-y}\right) \\
– y & \overline{-x} \\
\end{pmatrix}
\end{align}
も、与えられた集合内に存在し、乗法に関する単位元
\begin{align}
\begin{pmatrix}
1 & 0 \\
0 & 1 \\
\end{pmatrix}
\end{align}
も、与えられた集合内に存在する。

さらに、加法に関する零元
\begin{align}
\begin{pmatrix}
0 & 0 \\
0 & 0 \\
\end{pmatrix}
\end{align}
も、与えられた集合内に存在する。

また、明らかに和法に関して交換則が成り立つことが分かる。

しかしながら、一般に乗法に関しては交換則は成り立たないので、与えられた集合は、斜体であると言える。