$G$ を群とし、$a, b, c \in G$ とする。
(a) 次の簡約則が成り立つことを示せ。
\begin{align}
a \circ b &= a \circ c \Rightarrow b = c \\
b \circ a &= c \circ a \Rightarrow b = c
\end{align}
(b) $a, b \in G$ に対して、$a \circ x = b$ となる $x \in G$ がただ1つ決まる。
また、$y \circ a = b$ となる $y \in G$ がただ1つ決まる。
具体的には、$x = a^{-1} \circ b, y = b \circ a^{-1}$ である。
このことを示せ。
(c) 写像 $l_a: G \rightarrow G$ を、$x \in G$ に $a \circ x \in G$ を対応させる写像とする。
このとき、$l_a$ は全単射である。
同様に、写像 $r_b: G \rightarrow G$ を、$x \in G$ に $x \circ b \in G$ を対応させる写像とする。
このとき、$r_b$ は全単射である。
このことを示せ。
(a)
$a \circ b = a \circ c$ が成り立つとき、$a$ の逆元 $a^{-1}$ を左から両辺にかけて、結合則を使うことにより
\begin{align}
a^{-1}\circ(a \circ b) &= a^{-1}\circ(a \circ c) \\
(a^{-1} \circ a) \circ b &= (a^{-1} \circ a) \circ c \\
e \circ b &= e \circ c \\
b &= c
\end{align}
が示される。
同様にして、$b \circ a = c \circ a$ の両辺に右から $a^{-1}$ をかけて、結合則を使うことにより、$b = c$ が示される。
(b)
$a \circ x = b$ となる $x \in G$ は、具体的に $x = a^{-1} \circ b$ とすることによって得られることが、結合則を使うことにより、次のようにして分かる。
\begin{align}
a \circ(a^{-1} \circ b) &= (a \circ a^{-1}) \circ b \\
&= e \circ b \\
&= b
\end{align}
さらに、このような $x \in G$ がただ1つであることは、$a \circ x = b, a \circ x’ = b$ とするとき
\begin{align}
a \circ x &= b = a \circ x’ \\
a^{-1} \circ(a \circ x) &= a^{-1}\circ (a \circ x’) \\
(a^{-1} \circ a) \circ x &= (a^{-1} \circ a) \circ x’ \\
e \circ x &= e \circ x’ \\
x &= x’
\end{align}
となることより分かる。
全く同様にして、$y \circ a = b$ となる $y \in G$ が、$y = b \circ a^{-1}$ のただ1つに決まることが分かる。
(c)
先ず、写像 $l_a: G \rightarrow G$ が全射であることを示す。
任意の $b \in G$ に対して、$a \circ x = b$ となる $x \in G$ が存在することは、(b) によって示した。
すなわち、$l_a$ は全射である。
次に単射であることを示す。
$a \circ x = a \circ x’$ とするとき、$a^{-1}$ を両辺に左からかけて結合則を使うことにより $x = x’$ が言える。
すなわち、$l_a$ は単射である。
これより、$l_a$ は全単射であることが言える。
全く同様にして、$r_b$ が全単射であることも分かる。