集合・位相

距離空間の例

$[0, 1] \subset \mathbb{R}$ で定義された実数値連続関数全体の集合を $C[0,1]$ と表す。
このとき、実数値関数 $d: C[0,1] \times C[0,1] \to \mathbb{R}$ を
\begin{align}
d(f, g) &= \int_0^1 |f(x) – g(x)| {\rm d} x\ (f, g, \in C[0,1])
\end{align}
により定める。
このとき、以下の問いに答えよ。

(1)
$d$ は $C[0,1]$ の距離となることを示せ。

(2)
実数値関数 $\Phi: C[0, 1] \to \mathbb{R}$ を
\begin{align}
\Phi(f) &= f(1) (f \in C[0, 1])
\end{align}
により定める。$C[0,1]$ の点列 $\{f_n\}_{n = 1}^{\infty}$ を
\begin{align}
f_n(x) &= x^n\ (x \in [0, 1])
\end{align}
により定め、$\{f_n\}_{n = 1}^{\infty}$ と $\{\Phi(f_n)\}_{n = 1}^{\infty}$ の極限を調べることにより、$\Phi$ は連続でないことを示せ。

(1)
先ず、$f, g \in C[0,1]$ $d(f, g) \ge 0$ は明らかである。
また、$d(f, g) = 0$ のとき、任意の $x \in [0,1]$ について $f(x) = g(x)$ となり、$f = g$ が成り立つ。
従って、正値性は成り立つ。

次に、対称性 $d(f, g) = d(g, f)$ は明らかである。

最後に、$f, g, h \in C[0, 1]$ とするときに、三角不等式を示す。
\begin{align}
d(f, h) &= \int_0^1 |f(x) – h(x)| {\rm d} x \\
&= \int_0^1 |(f(x) – g(x)) – (h(x) – g(x))| {\rm d} x \\
&\le \int_0^1 |f(x) – g(x)| {\rm d} x + \int_0^1 |h(x) – g(x)| {\rm d} x \\
&= d(f, g) + d(h, g) \\
&= d(f, g) + d(g, h)
\end{align}
以上の計算より、三角不等式も成り立つ。

従って、$d$ は $C[0,1]$ における距離となる。

(2)
先ず
\begin{align}
d(f_n, 0) &= \int_0^1 |x^n – 0| {\rm d} x \\
&= \frac{1}{n + 1}
\end{align}
より、$\lim_{n \to \infty} d(f_n, 0) = 0$ となるので、$\lim_{n \to \infty}f_n = 0$ でが言える。

ここで、$\Phi(0) = 0$ と $n \in \mathbb{N}$ のときに $\Phi(f_n) = 1^n = 1$ に注意すると、$\lim_{n \to \infty} \Phi(f_n) = 1$ となり、$\Phi(0) = 0$ には収束しない。
従って、$\Phi$ は 0 で連続でない。
つまり、$\Phi$ は連続ではないことが分かる。