量子力学

Pauli行列の性質

以下で定義されるσx,σy,σzを Pauli 行列という。
σx=(0110),   σy=(0ii0),   σz=(1001)
Pauli 行列は以下の関係式を満たすことを示せ。

(1)
σx2=σy2=σz2=σ0[σx,σy]=2iσz[σy,σz]=2iσx[σz,σx]=2iσy{σx,σy}={σy,σz}={σz,σx}=0
ここに、σ0は2行2列の単位行列であり、[,],{,}は各々[A,B]=ABBA,{A,B}=AB+BAで定義される、交換関係と反交換関係である。

(2)
exp[iφ2σx]=cosφ2σ0isinφ2σxexp[iφ2σy]=cosφ2σ0isinφ2σyexp[iφ2σz]=cosφ2σ0isinφ2σz
ここに行列の指数関数exp[A]は以下で定義される。
exp[A]=n=01n!An

(1)
σx2=(0110)(0110)=(1001)=σ0σy2=(0ii0)(0ii0)=(1001)=σ0σz2=(1001)(1001)=(1001)=σ0

σxσy=(0110)(0ii0)=i(1001)=iσzσyσx=(0ii0)(0110)=i(1001)=iσzσyσz=(0ii0)(1001)=i(0110)=iσxσzσy=(1001)(0ii0)=i(0110)=iσxσzσx=(1001)(0110)=(0110)=iσyσxσz=(0110)(1001)=(0110)=iσy

以上の関係式から、示すべき式は明らかに成立することが分かる。

(2)

exp[iφ2σx]=n=11n!(iφ2σx)n=k=01(2k)!(iφ2σx)2k+k=01(2k+1)!(iφ2σx)2k+1=k=0(1)k(2k)!(φ2)2kσ0 ik=0(1)k(2k+1)!(φ2)2k+1σx=cosφ2σ0isinφ2σx
ここで(1)の結果であるσx2=σ0を使った。

σy,σzについてもσy2=σ0,σz2=σ0が成立するので、全く同様の計算が成り立つ。

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