距離により定まる位相の関係

(1)
$d^{\prime }$ の正値性と対称性は明らかであるので、三角不等式を満たすことを示せば良い。

$x,y,z \in X$ とするとき、$d(x,y),d(y,z)<1$ のときは、$d^{\prime }(x,y)=d(x,y),d^{\prime }(y,z)=d(x,y)$ であり、
$d^{\prime }(x,z)=\mathrm{m}\mathrm{i}\mathrm{n}\{1,d(x,z)\}\le d(x,z)$ であるので
$$\begin{array}{r}{d}^{\prime }(x,z)\le d(x,z)\le d(x,y)+d(y,z)=d^{\prime }(x,y)+d^{\prime }(y,z)\end{array}$$
より三角不等式が成り立つ。

$d^{\prime }(x,y)=1$ のときは
$$\begin{array}{r}{d}^{\prime }(x,z)=\mathrm{m}\mathrm{i}\mathrm{n}\{1,d(x,z)\}\le 1\le 1+d^{\prime }(y,z)=d^{\prime }(x,y)+d^{\prime }(y,z)\end{array}$$
となり、やはり三角不等式が成り立つ。$d^{\prime }(y,z)=1$ のときも全く同様に示せる。

以上より、$d^{\prime }$ は三角不等式を満たすことが分かり、$d^{\prime }$ は $X$ の距離となることが分かる。

(2)
二つの距離 $d,d^{\prime }$ が $X$ において同じ位相を定めるということは、$d,d^{\prime }$ によって定められる各々の開集合系が等しいということである。
したがって、$X$ の任意の点列 $\{a_n{\}}_{n=1}^{\mathrm{\infty }}$ が $d$ に関して $a\in X$ に収束するならば、$d^{\prime }$ に関して $a$ に収束することと、逆に、$d^{\prime }$ に関して $a\in X$ に収束するならば、$d$ に関して $a$ に収束することを示せば良い。

先ず、前半を示す。
$\{a_n{\}}_{n=1}^{\mathrm{\infty }}$ が $d$ に関して $a\in X$ に収束するとすると
$$\begin{array}{r}\mathrm{\forall }ϵ>0,\mathrm{\exists }N\in \mathbb{N},n\ge N\Rightarrow d(a_n,a)<ϵ\end{array}$$
が成り立つ。
今、$d^{\prime }(a_n,a)\le d(a_n,a)$ であるので、$n\ge N$ に対して $d^{\prime }(a_n,a)<ϵ$ となり、数列 $\{a_n{\}}_{n=1}^{\mathrm{\infty }}$ は $d^{\prime }$ に関して $a$ に収束することが分かる。

次に後半を示す。
$\{a_n{\}}_{n=1}^{\mathrm{\infty }}$ が $d^{\prime }$ に関して、$a\in X$ に収束するとすると
$$\begin{array}{r}\mathrm{\forall }ϵ>0,\mathrm{\exists }N\in \mathbb{N},n\ge N\Rightarrow d^{\prime }(a_n,a)<\mathrm{m}\mathrm{i}\mathrm{n}\{1,ϵ\}\end{array}$$
が成り立つ。
ここで $n\ge N$ において $d(a_n,a)=d^{\prime }(a_n,a)<ϵ$ が成り立つことに注意すると、$d(a_n,a)<ϵ$ が成り立ち、$\{a_n{\}}_{n=1}^{\mathrm{\infty }}$ は $a$ に収束する。

以上より、題意が示された。