$\mathfrak{B}_u$ を左半開区間全体の集合とする。
このとき、以下の問いに答えよ。
(1) $\mathfrak{B}_u$ は $\mathbb{R}$ のある位相の基底となることを示せ。
(2) (1) により定まる $\mathbb{R}$ の位相を $\mathfrak{D}_u$ と表し、上限位相(ゾルゲンフライ直線)という。
このとき、左半開区間は $(\mathbb{R}, \mathfrak{D}_u)$ の開集合でも閉集合でもあることを示せ。
(3) 有界開区間は $(\mathbb{R}, \mathfrak{D}_u)$ の開集合であることを示せ。
(4) $\mathfrak{B}_l$ を右半開区間全体の集合とすると、(1) と同様にして、$\mathfrak{B}_l$ は $\mathbb{R}$ のある位相の基底となる。
$\mathfrak{D}_l$ を $\mathfrak{B}_l$ を基底とする $\mathbb{R}$ の位相とすると、(2), (3) の議論と同様にして、右半開区間は $(\mathbb{R}, \mathfrak{D}_l)$ の開集合でも閉集合でもあり、さらに、有界開区間は $(\mathbb{R}, \mathfrak{D}_l)$ の開集合であることが分かる。
$\mathfrak{D}_l$ を下限位相という。
このとき、$\mathfrak{D}_u$ および $\mathfrak{D}_l$ より大きい $\mathbb{R}$ の位相は離散位相であることを示せ。
(1)
任意の $x \in \mathbb{R}$ に対して、$x$ を含む左半開区間が存在する。
また、2つの左半開区間の共通部分は、空集合でないならば、左半開区間である。
従って、$\mathfrak{B}_u$ は $\mathbb{R}$ のある位相の基底となることが分かる。
(2)
左半区間を $(a, b]$ とする。ここで、$a, b \in \mathbb{R}, a < b$ とする。
まず、$(a, b] \in \mathfrak{B}_u$ であり、$\mathfrak{B}_u$ は $\mathbb{R}$ のある位相の基底であるので、$(a, b]$ は $(\mathbb{R}, \mathfrak{B}_u)$ の開集合である。
次に、$n \in \mathbb{N}$ とするとき、$(a – n, a]$ と $(b, b + n]$ は $(\mathbb{R},\mathfrak{B}_u)$ の開集合である。
ここで
\begin{align}
(- \infty,a] \cup (b, \infty) &= \left(\bigcup_{n = 1}^{\infty} (a – n, a]\right) \cup \left(\bigcup_{n = 1}^{\infty} (b, b + n]\right)
\end{align}
であるので、$(- \infty, a] \cup (b, \infty)$ は $(\mathbb{R}, \mathfrak{B}_u)$ の開集合である。
よって、その補集合である $(a, b]$ は閉集合である。
以上の議論より、題意が示された。
(3)
$n \in \mathbb{N}, a,b \in \mathbb{R}, a < b$ とするとき、$(a, b – (b – a)/(2n)]$ は $(\mathbb{R}, \mathfrak{D}_u)$ の開集合である。ここで
\begin{align}
(a, b) &= \bigcup_{n = 1}^{\infty} \left(a, b – \frac{b – a}{2 n}\right]
\end{align}
であるので、$(a, b)$ は $(\mathbb{R}, \mathfrak{D}_u)$ の開集合となる。
(4)
$\mathfrak{D}_u, \mathfrak{D}_l$ よりも大きい $\mathbb{R}$ の位相を $\mathfrak{D}$ とする。
$a, b, c \in \mathbb{R}, a < b < c$ とする。
このとき、(2) の結果より $(a, b] \in \mathfrak{D}_u$ であるので、$(a, b] \in \mathfrak{D}$ である。
同様に、$[b, c) \in \mathfrak{D}_l$ より、$[b, c) \in \mathfrak{D}$ となる。
したがって
\begin{align}
\{b\} &= (a, b] \cap [b, c) \in \mathfrak{D}
\end{align}
が得られる。
すなわち、$\mathfrak{D}$ は離散位相であることが分かる。