複素関数論

複素変数の正弦関数

\({\rm e}\)を自然対数の底とする。このとき、複素数\(z\)に対して、指数関数\({\rm e}^z\)を
\[
{\rm e}^z = \sum_{n = 0}^{\infty} \frac{1}{n!} z^n
\]
と定義し、\(z\)の正弦関数\(\sin z\)を
\[
\sin z = \frac{{\rm e}^{{\rm i} z} – {\rm e}^{- {\rm i} z}}{2 {\rm i}}
\]
と定義する。このとき\(z\)を複素数とする方程式
\[
\sin z = 2\ \cdots\cdots \mbox{(A)}
\]
について、次の問いに答えよ。

(1) 方程式(A)に対して、\(w = {\rm e}^{{\rm i}z}\)とおくときに出来る方程式
\[
\frac{w – w^{-1}}{2 {\rm i}} = 2
\]
の\(w\)に関する複素数解を求めよ。

(2) 方程式(A)の解のうち、実数部分が\(0\)以上\(2 \pi\)未満であるものを求めよ。

(1)
\[\begin{align}
\frac{w – w^{-1}}{2 {\rm i}} &= 2 \\
w^2 – 4 {\rm i} w – 1 &= 0
\end{align}\]
この2次方程式の解は
\[\begin{align}
w &= 2 {\rm i} \pm \sqrt{(2 {\rm i})^2 + 1} \\
&= (2 \pm \sqrt{3}){\rm i}
\end{align}\]
と求まる。

(2)
\[
{\rm e}^{{\rm i} z} = (2 \pm \sqrt{3}) {\rm i}
\]
を\(z\)について解くと、\(2 \pm \sqrt{3} > 0\)に注意して
\[
z = \frac{\pi}{2} + 2 n \pi – {\rm i} \log(2 \pm \sqrt{3})
\]
ここに、\(n\)は任意の整数である。題意を満たす解は\(n = 0\)の時であり、
\[
z = \frac{\pi}{2} – {\rm i} \log(2 \pm \sqrt{3})
\]
と求まる。