代数学

$n$次対称群$S_n$の性質

$n \ge 2$ とし、$S_n$ を $n$ 次対称群とする。
$i = 1, \cdots, n – 1$ に対して
\begin{align}
\sigma_i &\equiv (i\ i + 1) \in S_n
\end{align}
とおく。$\sigma_1, \cdots, \sigma_{n – 1}$ は隣接互換と呼ばれる。
このとき、以下の問に答えよ。

(a) $S_n$ は $\sigma_1, \cdots, \sigma_{n – 1}$ で生成されること、すなわち、
\begin{align}
S_n = \langle \sigma_1, \cdots, \sigma_{n – 1}\rangle
\end{align}
が成り立つことを示せ。

(b) 隣接互換 $\sigma_i$ は以下の関係式を満たすことを示せ。
但し、$e$ は $S_n$ の単位元を表す。
\begin{align}
\sigma_i^2 &= e\ (1 \le i \le n – 1) \\
\sigma_i \circ \sigma_j &= \sigma_j \circ \sigma_i\ (1 \le i < j \le n – 1, j – i \ge 2) \\
(\sigma_i \circ \sigma_{i + 1})^3 &= e\ (1 \le i \le n – 1)
\end{align}

(a)
任意の $S_n$ の元は有限個の互換の積で表すことが出来る。
また、$1 \le i < j \le n$ とするとき、互換 $(i\ j)$ は
\begin{align}
(i\ j) &= (i\ i + 1) \circ \cdots (j – 2\ j – 1) \circ (j – 1\ j) \circ (j – 2\ j – 1) \circ \cdots (i\ i + 1)
\end{align}
と隣接互換の積で表すことが出来る。
従って、題意が示された。

(b)
$1 \le i \le n – 1$ に対して
\begin{align}
\sigma_i^2 &= e
\end{align}
は自明である。

$1 \le i < j \le n – 1, j – i \ge 2$ に対して、
\begin{align}
\sigma_i \circ \sigma_j &= \sigma_j \circ \sigma_i
\end{align}
は、$i$ と $j$ が2以上離れているので $\sigma_i, \sigma_j$ は互いに影響を及ぼさない。
従って、上記の関係式が成り立つ。

$1 \le i \le n – 1$ に対して
\begin{align}
\sigma_i \circ \sigma_{i + 1} &=
\begin{pmatrix}
i & i + 1 & i + 2 \\
i + 1 & i + 2 & i \\
\end{pmatrix}
\end{align}
に注意すれば
\begin{align}
(\sigma_i \circ \sigma_{i + 1})^3 &= e
\end{align}
が示される。