$n \ge 2$ として、$B_n \equiv \{\sigma \in S_n | \sigma \mbox{は奇置換}\}$ とおく。
また、互換 $\tau = (1\ 2)$ とおく。
このとき、$\sigma \in A_n$ ならば、$\tau \circ \sigma \in B_n$ であることを示せ。
さらに、$\sigma$ に $\tau \circ \sigma$ を対応させる写像 $A_n \rightarrow B_n$ は全単射であることを示せ。
これから、$S_n = A_n \coprod B_n$ であることと、$|S_n| = n!$ であることを用いて、$|A_n| = n!/2$ を示せ。
$\sigma \in A_n$ 、すなわち、$\sigma$ が偶置換であれば、${\rm sign}(\sigma) = 1$ であるので、${\rm sign}(\tau \circ \sigma) = -1$ となり、$\tau \circ \sigma$ は奇置換、すなわち、$\tau \circ \sigma \in B_n$ となる。
次に、$\sigma$ に $\tau \circ \sigma$ を対応させる写像 $A_n \rightarrow B_n$ は全単射であることを示す。
先ず、先に示した事実より、この写像は確かに $A_n$ から $B_n$ への写像となっていることが分かる。
単射であることは
\begin{align}
\tau \circ \sigma_1 &= \tau \circ \sigma_2
\end{align}
とするとき
\begin{align}
\tau \circ(\tau \circ \sigma_1) &= \tau \circ(\tau \circ \sigma_2) \\
(\tau \circ \tau) \circ \sigma_1 &= (\tau \circ \tau) \circ \sigma_2 \\
e \circ \sigma_1 &= e \circ \sigma_2 \\
\sigma_1 &= \sigma_2
\end{align}
より、単射であることが示される。
さらに、全射であることは、任意の奇置換 $\sigma \in B_n$ に対して、$\tau \circ \sigma$ は偶置換になり、また、この偶置換の元は、今考えている写像により $\tau \circ (\tau \circ \sigma) = (\tau \circ \tau) \circ \sigma = e \circ \sigma = \sigma$ に写されるので、全射であることが分かる。
従って、今考えている写像は全単射であることが分かる。
$n$ 次対称群 $S_n$ の元は、偶置換か奇置換であるので、$S_n = A_n \coprod B_n$ となり、また、先に考えた写像により、$A_n$ と $B_n$ との間に全単射が存在するので、$|A_n| = |B_n|$ が言える。
さらに、$|S_n| = n!$ に注意すれば、$|A_n| = |B_n| = n!/2$ が言える。