代数学

準同型定理の応用(1)

$\mathbb{R}$ を加法を演算とする群、$\mathbb{C}^{\times}$ を乗法を演算とする群とする。

(a) $f: \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{C}^{\times}$ を、$x \in \mathbb{R}$ に ${\rm e}^{2 \pi \sqrt{-1} x} \in \mathbb{C}^{\times}$ を対応させる写像とする。
このとき、$f$ は群の準同型写像であることを示せ。

(b) $\mu = {\rm Im}f$ とする。
このとき、$\mu$ はどのような群であるか?

(c) $f$ に準同型定理を用いると、どのような群の同型が得られるか?

(a)
$x, y \in \mathbb{R}$ とする。このとき、
\begin{align}
f(x + y) &= {\rm e}^{2 \pi \sqrt{-1}(x + y)} \\
&= {\rm e}^{2 \pi \sqrt{-1} x} \cdot {\rm e}^{2 \pi \sqrt{-1} y} \\
&= f(x) \cdot f(y)
\end{align}
となるので、$f$ は準同型写像である。ここで、$\mathbb{R}$ における加法を「$+$」、$\mathbb{C}^{\times}$ における乗法を「$\cdot$」で表した。

(b)
$\mu$ は $x \in \mathbb{R}$ とするとき、${\rm e}^{2 \pi \sqrt{-1} x}$ の全体である。
これは、絶対値が1である複素数全体に等しい。
すなわち
\begin{align}
\mu &= \{z \in \mathbb{C}^{\times}| |z| = 1\}
\end{align}
となる。

(c)
$f$ に準同型定理を用いるために、${\rm Ker}f$ を求める。
$\mathbb{C}^{\times}$ の乗法を演算とする単位元は1であるので、${\rm Ker}f = \mathbb{Z}$ となる。
従って、準同型定理より
\begin{align}
\mathbb{R}/{\rm Ker}f &\cong {\rm Im} f \\
\mathbb{R}/\mathbb{Z} &\cong \{z \in \mathbb{C}^{\times}| |z| = 1\}
\end{align}
が言える。