(a) とするとき、
とする。
このとき、 は の部分群であるが、正規部分群でないことを示せ。
(b) とするとき、
とする。
このとき、 は の部分群であるが、正規部分群ではないことを示せ。
(a)
の単位元は の単位元と同じく恒等置換 であり、 を満たす。
また、 の元は、 の元から の元を、 から までは、 の元によって置換を決定し、 については、 のままであるものに等しい。
の任意の元 に対して、その逆元 は、 の逆元に を変えない置換に等しいので、やはり、 となる。
また、任意の に対して、 となることも自明である。
従って、 は の部分群となっている。
ここで、例えば、 とし、 を考える。
に注意すれば
となり、これは、 に属さない。
ここで、 であることを用いた。
従って、 は の正規部分群ではない。
(b)
簡単のために の場合を考えよう。
任意の の元 は として
と書ける。この逆行列は
となり、 となる。
また、明らかに、単位元は2行2列の単位行列 であり、 である。
さらに、上半三角行列同士の積は、やはり上半三角行列となり、その行列式は各々の行列の行列式の積となるので、やはり に含まれる。
従って、 のとき、 は の部分群であることが分かる。
一方で
を考えると、
に注意して
となり、これは に含まれない。
従って、 のとき、 は の正規部分群ではない。
一般の については、上半三角行列の逆行列はやはり上半三角行列であり、
上半三角行列の積は上半三角行列であることから、 は の部分群であることが分かる。
また、 として、対角成分が全て1であり、 成分も1であり、その他の成分は全て0である行列を考えて、
として、 を取ることにより、 を計算すれば、上半三角行列とならないことから、 は の正規部分群ではないことが分かる。