代数学

有限群$G$の集合$X$への作用

$n$ を正の整数とする。
有限群 $G$ が集合 $X = \{1, 2,\cdots, n\}$ に作用しているとする。

(a) 作用が推移的なとき(すなわち、任意の $i, j \in X$ に対して、$g \cdot i = j$ となる $g \in G$ が存在するとき)、$G$ の位数 $|G|$ は $n$ の倍数であることを示せ。

(b) 任意の $i, j, k, l \in X$ で $i \neq j$ かつ $k \neq l$ であるものに対して、$g \cdot i = k$ かつ $g \cdot j = l$ となる $g \in G$ が存在すると仮定する。
このとき、$G$ の位数 $|G|$ は $n(n – 1)$ の倍数であることを示せ。

(a)
有限群 $G$ が空でない集合 $X$ に作用しているとき、任意の $x \in X$ に対して
\begin{align}
|O(x)| &= |G/G_x| \\
|G| &= |O(x)| |G_x|
\end{align}
が成り立つ。

このとき、作用が推移的であるので、$O(x) = X$ すなわち、$|O(x)| = |X|$ が成り立つ。
従って、
\begin{align}
|G| &= |X| |G_x|\\
&= n |G_x|
\end{align}
となり、$|G|$ は $n$ の倍数であることが分かる。

(b)
任意の $i, k \in X$ に対して、$g \cdot i = k$ となる $g \in G$ が存在することから、(a) の結果が使えて、$|G|$ は $n$ の倍数となることが分かる。

さらに、$i, k \in X$ を固定したときに、$j, l \in X,\ i \neq i, k \neq l$ なる $j, l$ を考えると、$g \cdot j = l$ となる $g \in G$ が存在することから $X$ の元から $i$ または $k$ を除いた集合に対する作用となり、(a) の議論から
\begin{align}
G_j &= G_l \\
|G| &= (|X| – 1) |G_j| \\
|G| &= (|X| – 1) |G_l|
\end{align}
が成り立つ。

従って $|G|$ は $n – 1$ の倍数となる。

以上の議論より、$|G|$ は $n (n – 1)$ の倍数となることが分かる。