代数学

ピンポン補題

以下で表される行列 A,BGL2(R) で生成される GL2(R) の部分群を G とする。
A=(1201),B=(1021)GL2(R).
さらに、任意の正の整数 k1 と 0 でない整数 n1,n2,,nkZ{0} に対して
X=An1Bn2An3Bnk1Ank (nが奇数のとき),X=An1Bn2An3Ank1Bnk (nが偶数のとき),
とおく。
この問題の目的は XE2 を示すことである。

R2 の部分集合 U,V
U={t(x,y)R2||x|>|y|},V={t(x,y)R2||x|<|y|},
で定める。
PG に対して、fP:R2R2 は、vR2PvR2 を対応させる写像とする。

(a) 0 でない任意の整数 n に対して、fAn(V)U であることを示せ。
また、0 でない任意の整数 n に対して、fBn(U)V であることを示せ。

(b) k を奇数とする。
fX(V)U を示すことで、XE2 を示せ。

(c) k を偶数とする。m0n1 とも nk とも異なる整数とする。
このとき、(b) を用いることで、AmXAmE2 を示せ。
さらに、これより XE2 を示せ。

(a)
先ず、n を 0 でない整数とするとき、An が数学的帰納法により
An=(12n01)
と表されることに注意する。

ここで、V の任意の元 v=t(x,y)V, (|x|<|y|) を考え fAn(v)=Anv を計算すると
fAn(v)=Anv=(12n01)(xy)=(x+2nyy)
となる。

ここで、
|x+2ny||2ny||x|2|y||x|=(|y||x|)+|y|>|y|
より、fAn(v)U が言える。従って、fAn(V)U が成り立つ。

また、同様に
Bn=(102n1)
に注意すれば、U の任意の元 u=t(x,y)U, (|x|>|y|) に対して
fBn(u)=Bnu=(102n1)(xy)=(x2nx+y)
が成り立つ。

ここで
|2nx+y||2nx||y|2|x||y|=(|x||y|)+|x|>|x|
より、fBn(u)V が言えるので、fBn(U)V が成り立つ。

(b)
k を奇数とするとき、V の任意の元 v=t(x,y)V, (|x|<|y|) をとり、fX(v) を考えると
fX(v)=An1Bn2Bnk1Ankv
となるが、(a) の結果より、AnkvU が言えて、さらに、Bnk1AnkvV が言える。
これを繰り返せば、fX(v)U が導かれるので、fX(V)U が示される。

今、もしも X=E2 であれば、fE2(v)=v となるので、fX(V)U に矛盾する。
従って、XE2 が示される。

(c)
k を奇数として、m0n1 とも nk とも異なる整数とする。
このとき
AmXAm=AmAn1Bn2An3Ank1BnkAm
となり、mn1 であるので
AmAn1=Am+n1E2
となり、(b) において考えた X に帰着する。
従って (b) の主張より、AmXAmE2 が言える。

この式の両辺に、左から Am、右から Am をかけることにより、XE2 が示される。

(注意)
この証明には mnk なる条件は必要ないと思われる。