代数学

コーシー-フロベニウスの補題の応用

エメラルドが2つ、ルビーが2つ、サファイアが2つの計6個の宝石がある。
この宝石を全て使って、等間隔に宝石を配置したネックレスを作る。
このとき、何通りの宝石の付け方があるか?

正六角形の各頂点に宝石を配置すると考える。
このときに、作用させる群として2面体群 $D_{12}$ を考える。
便宜上、正六角形の各頂点を反時計回りに $A_1, A_2,\cdots, A_5$ とし、中心を $O$ とする。
2面体群 $D_{12}$ は
\begin{align}
D_{12} &= \{e, r, r^2, \cdots, r^5, s_1, s_2, \cdots, s_6\}
\end{align}
と表すことが出来る。
ここに、$r$ は正六角形の中心の反時計回りの$2 \pi/6$ 回転である。
また、直線 $OA_1$ に関する反転を $s_1$、
$A_1$ と $A_2$ の中点と $O$ を結ぶ直線に対する反転を $s_2$、
直線 $OA_2$ に関する反転を $s_3$、
$A_2$ と $A_3$ の中点と $O$ を結ぶ直線に対する反転を $s_4$、
直線 $OA_3$ に関する反転を $s_5$、
$A_3$ と $A_4$ の中点と $O$ を結ぶ直線に対する反転を $s_6$ とする。

3種類の宝石を $1, 2, 3$ と名付けて、集合 $X$ を各々2つずつの $1, 2, 3$ の配置の全体とする。
\begin{align}
X &\equiv \{(c_1, c_2, \cdots, c_6)\}
\end{align}
ここで、$c_1, \cdots, c_6$ は各々2つずつの 1, 2, 3 の並べ替えの全体を表す。

$g$ を $D_{12}$ の元、$x$ を $X$ の元とする。
このとき、コーシー-フロベニウスの補題を使って、$D_{12}$ が $X$ に作用したときの、$G$ 軌道の個数が求める場合の数となる。

先ず、任意の $x \in X$ に対して、$e \circ x = x$ であるので、$|{\rm Fix}(e)| = 3 \times 5 \times {}_4 C_2 = 90$ となる。
同様に、${\rm Fix}(r) = 0, {\rm Fix}(r^2) = 0, {\rm Fix}(r^3) = 6, {\rm Fix}(r^4) = 0, {\rm Fix}(r^5) = 0$ が得られる。
さらに、${\rm Fix}(s_1) = {\rm Fix}(s_2) = {\rm Fix}(s_3) = {\rm Fix}(s_4) = {\rm Fix}(s_5) = {\rm Fix}(s_6) = 6$ が得られるので、コーシー-フロベニウスの補題より、求める場合の数 $N$ は
\begin{align}
N &= \frac{1}{12}(90 + 6 + 6 \times 6) \\
&= 11
\end{align}
となり、11通りと求まる。