代数学

イデアルの性質

$A$ を単位元をもつ可換環、$I, J_1, J_2$ を $A$ のイデアルとする。
このとき、
\begin{align}
I \subset J_1 \cup J_2
\end{align}
ならば
\begin{align}
I \subset J_1\ \mbox{または}\ I \subset J_2
\end{align}
が成り立つことを示せ。

$I \subset J_1 \cup J_2$ とするとき、イデアル $I$ から任意の元 $a \in I$ をとる。($I$ はイデアルなので空集合ではないので、いつでもある元を取ることが出来る。)

このとき、$I \subset J_1 \cup J_2$ なので、$a \in J_1$ または $a \in J_2$ が成り立つ。
ここで必要があれば、$J$ の下付きの添字の 1, 2 を入れ替えることにより、$a \in J_1$ と仮定しても一般性は失わない。

このとき、$I \subset J_1$ を示す。
もし、$\{a\}$ で $I$ が尽くされていれば、$I \subset J_1$ は成立する。
そこで、$a$ 以外の元が $I$ に存在する場合、その元を $b \in I$ とする。
このとき、$x = b \cdot a^{-1} \in A$ を考えると、$J_1$ がイデアルであるので
\begin{align}
x \cdot a &= (b \cdot a^{-1}) \cdot a \\
&= b \in J_1
\end{align}
が言える。
従って、題意が示された。