解析

\(\epsilon-\delta\)論法と\(\epsilon-N\)論法

(1) \(\mathbb{R}^2\)にユークリッド距離を考える。このとき、次の写像\(f : \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2\)は連続写像であることを2次元ユークリッド距離を用いた\(\epsilon-\delta\)論法で証明せよ。
\[
f(x, y) = (3 y – 4, 4 x + 8)
\]

(2) \(\mathbb{R}^2\)にユークリッド距離を考える。この時、次の\(\mathbb{R}^2\)内の点列\(\left\{p_n\right\}_{n = 1}^{\infty}\)は収束することを2次元ユークリッド距離を用いた\(\epsilon-N\)論法で証明せよ。
\[
\left\{p_n\right\}_{n \in \mathbb{N}},\ p_n = \left(\frac{4 – 2 n}{n}, \frac{n^2 + 4}{n^2}\right)
\]

(1) \(B((x_0, y_0); \epsilon) = \{ (x, y) \in \mathbb{R}^2 | d((x, y), (x_0, y_0)) < \epsilon \}\)と表記することにする。 ここに、\( d((x, y), (x_0, y_0)) \)は\((x, y)\)と\((x_0, y_0)\)のユークリッド距離であり、具体的には\(d((x, y), (x_0, y_0)) = \sqrt{(x - x_0)^2 + (y - y_0)^2}\)である。 写像\(f\)が任意の\((x_0, y_0) \in \mathbb{R}^2\)において連続写像である事は、次の2つの条件が成り立つことである。\(\\ \) (a) \(\forall \epsilon > 0, \exists \delta > 0, f(B((x_0, y_0); \delta)) \subset B(f(x_0, y_0); \epsilon)\)

(b) \(\forall \epsilon > 0, \exists \delta > 0, B((x_0, y_0); \delta) \subset f^{-1}(B(f(x_0, y_0); \epsilon)\)

まず、(A)から示す。(\(f(x, y) = (3 y – 4, 4 x + 8)\)なる写像は、\(x, y\)を入れ替えて、さらに\(x\)方向に3倍、\(y\)方向に4倍して、その後、\(x\)方向に-4、\(y\)方向に8平行移動するので、この写像で距離が変わるのは、\(x\)方向に3倍、\(y\)方向に4倍する時のみであることに注意して\(\epsilon\)対する\(\delta\)を決める。)

\(\forall \epsilon > 0\)に対して\(\delta = \epsilon/4\)とする。
この時、\((x, y) \in B((x_0, y_0); \delta) = B((x_0, y_0); \epsilon/4)\)なる\((x, y)\)をとると、\(f(x, y) = (3 y – 4, 4 x + 8)\)と\(f(x_0, y_0) = (3 y_0 – 4, 4 x_0 + 8)\)とに注意すると
\[\begin{align}
d(f(x, y), (x_0, y_0)) &= d((3 y – 4, 4 x + 8), (3 y_0 – 4, 4 x_0 + 8)) \\
&= \sqrt{(3 (y – y_0))^2 + (4 ( x – x_0))^2} \\
&= 4 \sqrt{(3/4)^2 (y – y_0)^2 + (x – x_0)^2} \\
&< 4 \sqrt{(y - y_0)^2 + (x - x_0)^2} \\ &= 4 d((x, y), (x_0, y_0)) \end{align}\] が言える。 従って、\(\forall (x, y) \in f(B((x_0, y_0); \epsilon/4)\)に対して\(d(f(x, y), (x_0, y_0)) < \epsilon\)となる。 つまり、\((x, y) \in B(f(x_0, y_0); \epsilon)\)となり、(a)が示された。\(\\ \) 次に(b)を示すには、\(f^{-1}(x, y) = (\frac{1}{4} y - \frac{8}{4}, \frac{1}{3} x + \frac{4}{3})\)に注意すれば、(a)の証明と同様にして、今回は\(\delta = 3 \epsilon\)と選べば良い。 従って、\(f\)が連続写像であることが示された。\( \\ \\ \) (2) 点列\(\left\{p_n\right\}\)は\((-2, 1)\)に収束すると考えられるので、示すべき命題は \[ \forall \epsilon > 0, \exists N, n > N \to d(p_n,(-2, 1)) < \epsilon \] である。ここで \[\begin{align} d(p_n, (-2, 1)) &= d((\frac{4}{n} - 2, 1 + \frac{4}{n^2}), (-2, 1)) \\ &= \sqrt{(\frac{4}{n})^2 + (\frac{4}{n^2})^2} \\ &= 4 \sqrt{\frac{1}{n^2} + \frac{1}{n^2}} \\ &\le 4 \sqrt{\frac{1}{n^2} + \frac{1}{n^2}} \mbox{なぜなら、$n \in \mathbb{N}$} \\ &= 4 \frac{\sqrt{2}}{n} \\ &< \frac{8}{n} \end{align}\] に注意すれば、\(N\)として\(N > \frac{8}{\epsilon}\)を満たす自然数\(N\)を取れば
\[
\frac{8}{N} < \epsilon \] となるので、\(n > N\)なる\(n\)に対して
\[
d(p_n, (-2, 1)) < \epsilon \] となり、\(\epsilon-N\)論法により、点列\(\left\{p_n\right\}\)は\((-2, 1)\)に収束することが示される。